代表コラム
【代表コラム】|「見え方の違い」を知ることから、誰にとっても伝わる社会へ
私たちは普段、「自分が見ている色を、きっと相手も同じように見ている」と思いながら生活しています。
けれど、色の見え方には一人ひとり違いがあります。
生まれ持った色覚特性による違いもあれば、年齢を重ねることによって生じる見え方の変化もあります。
大切なのは、その違いを「良い・悪い」で判断することではありません。
「自分とは違う見え方をしている人がいるかもしれない」
そう知ることから、相手への小さな配慮が始まります。
認定NPO法人 色彩生涯教育協会(CLE協会)では、色彩教育を通して、学校・家庭・企業・地域に「誰にとっても伝わりやすい環境」を広げていくため、ユニバーサルカラー体験会を全国で展開していきます。
ユニバーサルカラー体験会では、最初に問いかけの言葉があります。
「私が見ている色と、他の人が見ている色は、本当に同じでしょうか?」
体験会では、
などについて、身近な事例や体験を通して学びます。
そして、知識を覚えることだけをゴールにはしません。
目指しているのは、
「見える」と「伝わる」は違う
ということに気づき、自分の身の回りを見直してみることです。
案内表示、学校の教材、黒板やスライド、商品のパッケージ、公共施設のサイン、災害時の情報……。
私たちの社会には、色によって情報を伝えているものがたくさんあります。
だからこそ、
「この色だけで、本当にみんなに伝わるかな?」
と考えられる人を増やしていきたいと考えています。
色覚特性について学ぶとき、CLE協会が特に大切にしていることがあります。
それは、色の見え方の違いを、人の優劣として扱わないことです。
色覚特性は、その人が見ている世界の違いの一つです。
体験会で遺伝について学ぶことで、ご自身やご家族について思いを巡らせる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この学びは誰かの色覚特性を推測したり、決めつけたりするためのものではありません。
むしろ、
「自分とは違う見え方がある」と知る。
だから、伝え方を一つ増やしてみる。
そのための学びです。
子どもが絵を描いたとき。
色鉛筆を選んだとき。
洋服を選んだとき。
学校で色を使った問題に答えたとき。
大人からすると「違う色を選んでいる」と感じることがあるかもしれません。
そんなときにも、
「色を間違えた」
と捉える前に、
「この子には、この色がそう見えたのかもしれない」
という視点を持ってみてください。
これは甘やかすことでも、特別扱いすることでもありません。
その子が情報をどのように受け取っているのかを理解し、必要なところに工夫を加えることです。
色覚特性について知ると、
「これから何をしてあげればいいんだろう」
と、一生懸命調べ始める親御さんもいらっしゃいます。
もちろん、正しい知識を持つことは大切です。
でも、家庭の中のすべての色を変えたり、先回りしてすべての困りごとをなくしたりする必要はありません。
まずは、
「困っていること、ある?」
と聞ける関係をつくること。
そして困る場面が出てきたら、一緒に、
「じゃあ、どうしたら分かりやすくなるかな?」
と考える。
色だけでは分かりにくければ、文字を添える。
形を変える。
置く場所を決める。
明るさの差をつける。
方法は一つではありません。
本人を変えるのではなく、伝え方を変えることができる。
これは、色覚特性に限らず、ユニバーサルカラーが大切にしている考え方です。
CLE協会がユニバーサルカラーを伝えるとき、大切にしている言葉があります。
違いを知ることは、
不安になるためではなく、
工夫できることを増やすため。
色覚特性を持つ子どもだけが、社会に合わせ続ける必要はありません。
学校も、家庭も、商品も、案内表示も。
私たちの側にも、もっと分かりやすくできることがあります。
だからこそ、ユニバーサルカラーは「特定の人のための配慮」ではなく、
みんなにとって、より伝わりやすい社会をつくるための知識
だと、私たちは考えています。
見え方の違いを知ることから、人を理解することへ。
CLE協会は、色彩教育を通して、子どもたち一人ひとりの違いが自然に認められる学校・家庭・社会を広げていきたいと考えています。
見え方が違う人を変えるのではなく、
私たちの「伝え方」と「環境」を変えていく。
それが、CLE協会が全国へ届けていきたいユニバーサルカラーです。
もう一つ、大切にしたいのが「加齢による見え方の変化」です。
年齢を重ねるにつれて、目の状態や色の見え方にも変化が起こります。
けれど、それを知って、
「年を取ったら見えなくなるんだ」
と不安になることが、この体験会の目的ではありません。
見え方が変化するのであれば、私たちには環境を変えるという選択肢があります。
見えにくくなった人に努力してもらうのではなく、周囲の環境や伝え方を工夫する。
人間、誰もが歳を重ねていきます。
見え方、感じ方が変化するのも、当然のことです。
過度に不安にならずに、
環境を整えていくことで、カバーできることはたくさんあります。
ユニバーサルカラーは、これから人と関わる仕事を目指す若い世代にも、大きな意味を持つ学びです。
たとえば、福祉分野を目指す生徒。
高齢者やさまざまな見え方を持つ方と接するとき、「なぜ見えにくいのだろう」と相手だけの問題にせず、環境の側から考える視点を持つことができます。
そして、教員を目指す生徒。
黒板、プリント、教材、ICT画面、掲示物など、教師は毎日のように「色を使って情報を伝える仕事」をします。
「自分には見えているから大丈夫」ではなく、
「この情報は、クラスのみんなに伝わっているだろうか?」
と考えられる先生が増えることは、
これからの教育にとって大切なことだと私たちは考えています。
もちろん、現在学校で指導されている先生方にも同じことが言えます。
ユニバーサルカラーは特別な人のためだけの知識ではなく、
日々の授業や学校環境を少し見直すための実践的な視点になります。
CLE協会のユニバーサルカラー教育は、体験会だけで完結するものではありません。
まず体験して興味を持つ。
もっと知りたいと思ったら学ぶ。
そして、さらに専門的に学びたい方には、色彩検定UC級の学習・資格取得へつなげていきます。
私たちが描いているのは、
入口|ユニバーサルカラー体験会
→ 興味|もっと知りたい
→ 学習|UC級取得
→ 実践|学校・家庭・企業・地域へ
→ 連携|CLEと企業・学校・行政
という循環です。
資格を取ることだけがゴールではありません。
学んだ一人が家庭で伝える。
先生が学校で活かす。
企業が商品やサービスに活かす。
その小さな実践が次の人の「知るきっかけ」になり、社会へ広がっていくことを目指しています。
この活動を進めるうえで、大きな力になっているのが企業・団体との連携です。
CLE協会では、協力企業であるタカラサプライコミュニケーションズ株式会社の協力のもと、色覚模擬フィルタ「バリアントール」を教育・研修の場で活用する取り組みも進めています。
実際にフィルタを通して見てみることで、言葉だけでは理解しにくかった「見え方の違い」を体験的に考えるきっかけになります。
そして、この連携から私たちが感じているのは、企業が持つ技術や商品と、教育の現場がつながることで、新しい社会的価値が生まれる可能性です。
世の中には、すでに素晴らしい商品や技術を持ちながら、それを教育やユニバーサルカラーの世界でどう活かせるのか、まだ出会えていない企業があるかもしれません。
CLE協会は、そうした企業・団体ともつながりながら、
「商品を紹介する」だけではなく、
「その技術を社会の学びに変える」
橋渡し役になりたいと考えています。
ユニバーサルカラーは、一部の専門家だけが知っていればよいものではありません。
子どもも、保護者も、先生も、企業で働く人も、地域で活動する人も。
一人ひとりが、
「自分とは違う見え方がある」
と知るだけで、明日からの色の選び方や伝え方は少し変わります。
見え方が違う人を変えるのではなく、
私たちの「伝え方」と「環境」を変えていく。
CLE協会は、全国のユニバーサルカラー体験会講師、学校、企業、行政、地域の皆さまとともに、この学びを広げていきます。
色の学びを、学校・家庭・社会へ。
企業・団体との連携を通して、誰にとっても「伝わる」環境づくりを。
一人の小さな気づきが、誰かへの配慮になり、やがて社会の当たり前になっていく。
CLE協会は、そんな未来を色彩教育からつくっていきます。
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