代表コラム
【代表コラム】|色から自分を知り 人を理解する〜パーソナルカラーとビッグファイブを掛け合わせた色彩人類学〜
色彩人類学は、似合う色を知るためだけのものではありません。
外から見える印象と、内面の性格特性の両方を知り、自分の強みを仕事や人間関係に活かすための学びです。
色を入口にすると、性格やコミュニケーションという少し構えやすいテーマも、楽しく、具体的に考えられるようになります。
私たちは職場で、管理職、営業担当、先輩、後輩、専門職など、さまざまな役割を担っています。
信頼性や正確さが重視される職場ほど、組織にふさわしい振る舞いや装いを意識することも多いでしょう。
役割を果たすことは大切ですが、周囲から求められる姿に応え続けるうちに、
本来の自分の強みや自然な伝え方が見えにくくなることがあります。
CLE協会では、人の性格を一枚のラベルで捉えません。
中心には生まれ持った気質があり、その外側に、家庭環境などから育つ気性、学校生活や経験からつくられる習慣、そして職場や家庭で求められる役割が重なっていると考えます。
外側の層ほど社会的な状況の影響を受けやすく、意識して変えることもできます。
だからこそ、役割だけで自分を判断せず、内側にある傾向を知ることが大切です。自分らしさを理解できると、
必要以上に自分を責めにくくなり、
自分とは違う相手についても『合わない人』ではなく『異なる強みを持つ人』として捉えやすくなります。
色彩人類学 Color Anthropologyは、パーソナルカラーから分かる外見の特徴と、性格特性から捉える内面の傾向を照らし合わせ、自己理解と他者理解へつなげるために、CLE協会が研究し体系化してきた教育概念です。
従来のパーソナルカラー診断では、肌、瞳、髪などの色素と調和し、その人の魅力を引き立てる色を見つけます。
色彩人類学では、そこから一歩進み、『周囲からどのように見えやすいか』『自分はどのように考え、行動しやすいか』『その二つにどのような一致や差があるか』までを見ていきます。
パーソナルカラーの本質は、似合う色で一時的に変身することだけではありません。
自分の外見と内面を受け入れ、自分で選び、自分の強みを表現できるようになることです。
私たちは、その変化を『変身』ではなく『変容』と捉えています。
内面の理解には、心理学で広く研究されているビッグファイブの枠組みを活用します。
ビッグファイブは、人の思考、感情、行動の傾向を5つの領域から捉えるものです。
人を固定的なタイプに分けるのではなく、誰もが各特性を異なるバランスで持っていると考えます。
ここで大切なのは、数値の高低を優劣にしないことです。
例えばチャレンジ力が高い人は、新しい企画へ素早く踏み出せる一方、検討を急ぎすぎることがあります。
慎重な人は着手までに時間がかかる一方で、リスクを見つけ、安定した運用を支える力があります。
場面によって、同じ特性が強みにも注意点にもなります。
パーソナルカラーは、顔映りや装いを整えるだけでなく、その人が周囲へ与えやすい第一印象を考える入口になります。一方、ビッグファイブは、関わり続けたときに表れる行動や考え方の傾向を捉えます。
外から見える印象と内面の傾向を一緒に見ることで、どちらか一方だけでは気づきにくい個性が見えてきます。
例えば、はっきりとした色が似合い、第一印象では決断力があるように見える人が、内面では十分な情報を集めてから動く慎重な傾向を持っていることがあります。
反対に、穏やかな印象を与える人が、内面には強い挑戦意欲や自己主張を持っていることもあります。
この『外から見える自分』と『内側で感じている自分』の差は、欠点ではありません。
必要な場面で見せ方を整えたり、相手に自分の考えを言葉で補足したりするための手がかりです。
自分の個性を抑えるのではなく、相手へ伝わる形に整えることを、CLE協会では印象設計と考えています。
CLE協会では、パーソナルカラータイプ別に蓄積してきた性格特性の傾向データも補助的に参照します。
ただし、色から性格を決めつけたり、パーソナルカラーが性格をつくると判断したりするものではありません。
最終的には、本人の数値、経験、役割、実感を照らし合わせながら理解を深めます。
企業向けの色彩人類学コミュニケーション研修では、色を見て比べる視覚的な体験と、自分の考えを言葉にする対話を組み合わせます。
性格研修に身構える方でも、色を入口にすることで参加しやすく、参加者同士の自然な会話が生まれます。
研修は、参加人数や目的に応じて構成しますが、基本的には次の流れで進めます。
参加者で希望者にはオプションとし、
①外面カラーと第一印象
②内面の行動傾向
③自分の強み
④コミュニケーション上の注意点
⑤仕事で明日からできる行動を整理した個人レポート
を、お渡しします。診断結果を受け取って終わるのではなく、仕事での具体的な行動までつなげることが目的です。
オプションの個人データ例
職場のすれ違いは、能力の差ではなく、安心できる進め方や言葉の受け取り方の違いから生まれることがあります。
新しい提案を好む人には可能性や将来像から伝え、慎重な人には実績、手順、リスクへの備えを添える。
同じ内容でも、相手が理解しやすい言葉へ翻訳することで、伝わり方は変わります。
協調性が高い人は、周囲の意見を丁寧に聞ける一方で、自分の意見を後回しにすることがあります。
外向性が高い人は、対話しながら考えをまとめやすい一方、内向的な人は、一度持ち帰って整理する時間があると力を発揮しやすくなります。
それぞれの自然な進め方を知ることは、会議、営業、代理店との関係づくり、チーム運営など、さまざまな場面に活かせます。
色彩人類学コミュニケーション研修のゴールは、社員を分類したり、理想的な人物像へ近づけたりすることではありません。
自分の特性を客観的に理解し、必要な場面で活かせるようにすること。
そして、異なる特性を持つ相手の考え方を想像し、関係づくりに活かすことです。
個人の結果は本人の自己理解のために返却し、
企業へ結果を共有する場合も、本人の同意とプライバシーに配慮し、原則として個人を特定しない集計情報として扱います。
この安心があってこそ、参加者は自分の傾向と率直に向き合うことができます。
私はこれまで、国内外で色彩教育に携わり、多くの講師やチームと仕事をしてきました。
その中で実感しているのは、適切な役割と関わり方が整うと、人は自分の特性を活かし、想像以上の力を発揮するということです。
自分の仕事が誰かの役に立っていると感じられると、仲間や組織へさらに貢献したいという気持ちも育ちます。
AIによって多くの業務が効率化される時代だからこそ、
相手の表情や感情を受け取り、伝え方を調整し、異なる人と力を合わせる力の価値は、さらに高まっていくでしょう。
色を入口に、自分を知る。相手を知る。そして、違いを仕事の力に変える。
色彩人類学を、社員一人ひとりの自己理解と、互いの個性を活かす組織づくりに役立てていただければと思います。
※色彩人類学は、CLE協会が研究・体系化している教育概念です。パーソナルカラーと性格特性の関連は、協会が蓄積したデータをもとに傾向として扱い、因果関係や個人の性格を断定するものではありません。また、本研修は医療上・臨床上の診断ではありません。
参考文献
Soto, C. J., & John, O. P.(2017)The Next Big Five Inventory(BFI-2). Journal of Personality and Social Psychology, 113(1), 117-143.
Roberts, B. W., & Mroczek, D.(2008)Personality Trait Change in Adulthood. Current Directions in Psychological Science, 17(1), 31-35.
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