色彩雑学
色彩雑学|ハートフェルトピンク / 2026メッセージカラー
私たちが日々触れている色には、その時代を映し出す力があります。
社会の空気、人々の価値観、未来への願い。
それらを色で象徴するのが、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が毎年12月に発表する「時代の色—メッセージカラー」です。
時代の色—メッセージカラーは、その年の社会背景や人々の心理を色で読み解きながら、単なるトレンドを超えて、「こんな未来であってほしい」という願いや価値観を込めた色として選定されます。
2026年、時代の色、メッセージカラーに選ばれたのは
「ハートフェルトピンク(Heartfelt Pink)」
Heartfelt Pink は、見るだけで心がほぐれるような、淡くやさしいライトピンク。
この色が選ばれたのは、ピンクの「可愛らしさ」というイメージだけではありません。
変化の多い今の時代を過ごす私たちにとって、そっと安心をくれるような、あたたかい“よりどころ”になる色だからです。
【色名】ハートフェルト・ピンク Heartfelt Pink
【16進数】#ffcccc
【マンセル値】1.2R8.3/3.9
【CMYK値】C0/M25/Y7/K0
【系統色名】ライトピンク
予測不な状況に置かれた時、人は無意識に刺激を抑えた低彩度の色を求めるという心の動きがあり、パンデミック以降、人々の心理は長く「安心・安全」へと傾き、ベーシックカラーや淡色が支持されてきました。
しかし2025年、
・大阪・関西万博の開催
・日本初の女性首相の誕生(象徴的な出来事として)
こうした大きな節目が、社会に少しずつ前向きな雰囲気が芽生えつつあります。
社会ムードに変化の兆しが現れる時期には、淡色の中にも暖色が選ばれやすくなる傾向があります。
ハートフェルトピンクはまさに、 「静」から「動」へと移行する時代の温度を指し示す色なのです。
スマートフォンを介した疑似体験が日常化し、ブルーライトに象徴されるクールトーンに囲まれて暮らす現代。
青白い光は交感神経を刺激し、人の活動や緊張を高める神経系の覚醒を促します。
さらに、脳を覚醒させるホルモンであるセロトニンを分泌させ、身体は活動モードへ傾きやすくなり、知らず知らずのうちに緊張状態が日常に入り込んでしまいます。
その反動として、私たちの心は次第に、
・人の気配を感じるような温かさ
・肌に触れるようなやわらかさ
・実際に手で触れられるという安心感
といった、アナログで人間的な“温度”を求めるようになっています。
ピンクは 「人とのつながり」「優しさ」「温度」「共感」 といった感情を呼び起こす色。
リアルな体験や対面コミュニケーションの価値が再評価されている今、 心の奥の人間性を思い出させる色として、時代の流れにぴったり合致しています。
ピンクは赤と白の間にある色。
ピンクの色彩心理には、
・赤の持つエネルギー(やる気・血流促進)
・白の持つ浄化作用(リセット・クリーンな心理)
を併せ持ち、「安心したうえで、そっと前に進める心理状態」をつくります。
強すぎる赤では心が急き立てられ、 無彩色では停滞感が続く。
その二つを併せ持つライトピンクは、 「変化したいけれど、無理をしたくはない」 という、今の社会の本音に寄り添う色なのです。
2026年は、心の中で「再活性化」が起こる年。
・不安で硬くなった心をほぐし
・デジタルで冷えた感覚を温め
・象徴的な出来事がもたらす小さな希望に光を当て
・変化を受け入れる余白をつくる
そのすべてを、強さではなく優しさで叶える色。
それがハートフェルトピンクです。
大きな一歩ではなくても、確かに前へ進める一年。
無理に頑張らなくても、内側から静かにあたたまっていく感覚が、これからの日々をより穏やかなものにしてくれるはず。
淡いピンクがそっと寄り添う来年が、あなたにとって穏やかで、希望の光に満ちた時間となりますように。
▼PANTONE®︎のColor of the Yearはこちら
▼2025年のJAFCAメッセージカラーはこちら
色が人に与える影響は意外にも大きく、
毎日、朝起きてから色を選ぶという「選択」を私たちは無意識に行なっております。
1980年代に日本へ渡ってきたパーソナルカラーを‘日本の国民性’に合わせたパーソナカラーとして
CLE協会は【外見の似合う色と性格傾向の特性】に関するパーソナルカラーを提唱しております。
原稿執筆に関する依頼相談は当協会へお問合せください。色彩学に強い色彩ライターへお任せください。